ポルシェ911ターボ3,6

ポルシェ911といえば、ターボの存在抜きには語れません。
1975年以来、ポルシェ911ターボも進化を続けてきました。

他車を圧倒するほどのパワーと存在感で、スーパーカーのひとつとして捉えられた時期もありました。
もちろんポルシェの964タイプでもターボモデルがラインアップされました。

89年にカレラ4が生産販売され、次いで90年に主力となるポルシェ911カレラ2が、
少し遅れて、964ターボが発売されました。

このターボエンジンは、基本的に930ターボと同じで、インタークーラーの改良などで20馬力のアップになっていました。
燃料系も少し改良はされましたが、基本はKジェトロニックのままでした。

ただ92年に、この3,3ターボエンジンを381馬力、トルク50kまでチューンしたターボSがあり、
車重も軽量化されて登場しました。

そして964と同じ3,6Lの排気量のターボエンジンを積んだ、911ターボ3,6は
93年にやっと登場しました。

スペックは360馬力とトルクが53kになっていましたが、ターボSに比べると  
、馬力が小さく車中も200キロほど重くなっています。

930ターボと同様ターボフェンダーは健在で、ターボの存在感は964でも十分にあります。
ただ、販売台数は少ないので見かけることはあまりありません。
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燃料タンク

ポルシェの燃料タンクは930のころは鉄で出来ていました。内部のコーティングはしてあるとはいえ、
さびが発生するといわれます。

ポルシェ964から燃料タンクの材質は樹脂製になっています。ですので錆びません。
これは正しいのですが、落とし穴がありました。
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これはポルシェ964の燃料タンクについているフューエルセンダーといわれるものです。
燃料の残量計です。このパイプの中にフロートが入っており、それが上下して燃料タンク内の燃料を計るのです。

このセンダーの底の部分が鉄で出来ていて、錆びるというのです。
この錆びによって燃料ポンプが故障する原因になるらしいのです。

そこでポルシェ964の燃料タンクからこのセンサーを外してみました。
底を見ると、少し錆びてはいますが、それほどひどくは無く、問題を起こすとは思えません。

しかしよく見ると、小さな穴が二つ開いているのですが一つが詰まっているように見えます。
そこで、小さなナットをはずしてここを分解しました。
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そうすると裏側にびっしり錆なのかスラッジなのか、付着していました。
これは全く気付かない盲点でした。

燃料タンクも中をのぞいてみましたが、特に錆のようなものは見えませんでした。
ポルシェ964に燃料ポンプや燃料系の故障がある場合、ここも原因のひとつかもしれません。

ツインプラグ

ポルシェ911の空冷エンジンは基本的にほとんど形を変えず、排気量の増加でトルク及び馬力を大きくしていきました。
最初の考えでは、3リッターくらいが限界だろうといわれていたものが、ポルシェ964では3,6リッターまで
なっていました。

ここまでくると、ストロークは76,4とショートストロークといえますが、ボアは100ミリまで拡がりました。
そこでポルシェのエンジニアはスパークプラグを1気筒当たり2個つけて、火炎伝播を速めるようにしました。
この技術自体はそんなに目新しいものではなく、ポルシェ964もある意味やむを得ずということでしょうか。

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半球形の燃焼室とシングルカムという条件も2プラグにするのが容易だったこともあって、
苦肉の策といえなくも無い。もちろん完全燃焼でトルクや馬力も若干アップするでしょうし燃費にも良い方向に向く。

ただ、良いところばかりでなく欠点も見えてくる。
例えば、点火プラグが倍の12本必要になりますし、当然点火コイルそしてディストリビューターもふたついります。
そして点火時期を同調させるのにベルトを使っているのですが、これが切れたりすることたまに起こります。

ポルシェ964のエンジンはこのようにツインプラグ方式を採用したのですが、
これに伴いピストンの形状も変わっています。ヘッドが2プラグにあわせてリセスが設けてあり、
圧縮比も上がっているので形状も変化しています。

このエンジンはこの後ポルシェ993にも基本を変えずに搭載されていますので、
おそらく評価は悪くなかったのでしょう。

この後は、水冷エンジンになりシングルのプラグに戻るので、市販のポルシェ911ではこの空冷エンジンだけが
ツインプラグということになります。

DMEリレー

ポルシェ911の空冷、ポルシェ964のエンジンが突然、セルモーターを回しても、
掛からなくなったという時に、真っ先に疑うのはこれだといわれている、DMEリレーです。
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一番手前のリレーです。

これも消耗品といっていいかもしれません。
予備にこれを常に自分のポルシェに入れているというユーザーも多いのではないでしょうか。

ポルシェ911はこのタイプ964からヒューズボックスにDMEリレーが置かれましたが、
930はシートの下のエンジンコントロールボックスの横に単独で配置されています。

このDMEリレーが使われ始めたのはポルシェ911が機械式燃料噴射装置のSCから電子式エンジンコントロール
に代わった1984年式から、つまりボッシュのモトロニックシステムを採用したときから使われました。

もちろん今となっては古臭いシステムで、エアフローメーターはフラップ式の抵抗の大きいものですし、
イグニッションはディストリビューターも付いていて、旧式だとすぐに分かってしまいますが、
当時は最先端のエンジンコントロールシステムで、排ガス規制も簡単にクリヤできるものでした。

ところで、ポルシェ911の空冷は旧い個体が多いので、エンジンがセルを回しても掛からないという時、
燃料ポンプの故障も考えられます。

こんな時にはこのDMEリレーのふたを開けて、ふたつのコイルの上側の接点をクローズすると燃料ポンプに電源が入りますので
問題ないときはポンプが動きます。
それに、ポンプが目詰まりを起こしているとき、ここをON・OFFするとセルモーターが回ってない分
電圧降下が無いため、かかることがあります。
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古いポルシェ911を乗り続けるにはこうしたちょっとした知識を知っておくと役に立つことがあります。

ホンダNSX

ポルシェ964といえば、日本ではバブルがはじけようとするころ登場した自動車ですが、
同じ時期にホンダから国産初のスーパーカーが発売されました。

もちろんNSXのことですが、
ホンダNSXはそのころ比較対照としてよくポルシェ964を出していました。

ポルシェ911はいつの時代でも、スポーツカーの手本として、
もちろん現在も最高のスポーツカーとして、他社が常に意識している自動車です。

ところで、そのホンダNSXがまた新型として帰ってくるようですね。





なかなか個性的で新しい迫力さえ感じるデザインです。
スーパーカーではありますが、とてもエコを意識したコンセプトで造られているようです。

今や、スーパーカーといえば大排気量でパワーを稼ぐのが常識ですが、
このNSXはハイブリッドで、インホイールのモーターなど

非常に斬新な技術で速くて燃費もいいという、相反した要求を見事に実現しているようです。
ポルシェ911も新型を見ると、964などから比べるとかなり燃費なども意識して改善しているようです。

ポルシェ911のハイブリッドもそう遠くない未来に実現するのかもしれません。